ブログの最後の更新から、気がつけばもう4年も経っていた。 室谷先生の追悼記事を書いたことで、このブログの存在理由がひとまず果たされたような気がして、そのまま放置していた。けれど、その後もいろいろな出来事があったので、忘備録として書き留めておこうと思う。 2022年4月、東京音楽大学ソルフェージュ科の公募に、ダメ元で応募してみたところ、なんと採用された。授業内容はコードネームで、これはまさに、室谷先生から引き継いだN響団友ポップスオーケストラの仕事をしていなければできなかった内容だった。あらためて、縁とは不思議なものだと感じた。 2023年3月、非常勤で勤めていた母校・東京藝術大学を、任期満了で退職した。できる限りの努力はしたけれど、最後までうまくいかないまま終わってしまった。大学の求める方向性と、どうしても折り合いがつけられなかった。 要は、自分に資質や能力がなかったということなのだが、努力しても努力しても、毎週のように「無能だ」と叱責される日々が続き、次第に本当に心身の調子がおかしくなっていった。 任期の終わり頃には、最寄りの上野駅に近づくだけで目眩と吐き気がし、大学に入ると動悸と妙な冷や汗が止まらなくなった。今思えば、かなり危うい状態だったと思う。 すべては自分の至らなさが原因なのだが、それでもやっぱり辛かった。 結果的に、いろいろな人に迷惑をかけてしまったけれど、担当していた学生たちは今、それぞれ華々しく活躍している。後日、とある学生から「先生の授業を取って本当に良かった」と言ってもらえたことがあり、その一言にどれほど救われたか分からない。迷惑をかけた分、この経験を無駄にしないよう、これからも頑張っていきたい。 そして2023年7月、まさかの結婚。 出会いは2021年の終わり、ちょうど仕事で心身ともにボロボロだった時期だった。彼女と会っていると、不思議とさまざまな鎧がはがれ落ち、まるで子どもの頃のように無邪気に笑える自分がいた。 彼女も作曲家で、現代音楽のコンサートに一緒に足を運ぶうちに、その知的で高潔な精神にすっかり魅了されていった。こんなにも清らかに生きている人を、他に知らない。そんな人に出会えたことは、何よりの幸運だった。出会った頃と変わらない空気感のなかで、今も毎日を幸せに過ごしている。 2024年2月、新婚旅行は、留学していたミラノへ。 実...
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