楽しい夏休み VOL.1
どうにかこうにか初年度の大学勤務の半期が終わった。色々な人にしこたま怒られながらも、多くの人に支えられながら、熱心な生徒に救われながら学びの多い充実した半年過ごした。ありがたいことです。ということで夏休みに入ったが、相も変わらず世界は病魔に振り回され自粛・ステイホームが続く。まあコロナが無くても僕は重度のインドアだから例年と外出日数は変わらないかな。こりゃ暇だなんて思っていた矢先、一番最初に作曲を習った先生から急にお電話が。夜の10時ごろだったか。
・アンサンブルの中のピアノ演奏
・楽譜は明日の朝10時かのリハーサル前に渡せると思う(確証なし)
・楽譜の半分はピアノパートが書かれていないので、スコアを見ながら即興してほしい
・過去の演奏会の録音は送れる
という無茶振りで、とても誰かに頼める案件ではなかった。かといって恩師の大切な仕事に穴を開けてしまうのは心苦しく、しかしあまりにもリスクのある恐ろしい依頼なのでギリギリまで悩んで、「どうなっても知りませんよ」と多少荒ぶりつつもお引き受けしたのが12時ごろ。明日のリハーサル場所を調べると郊外の遠い場所で朝5時には出発しなければならなかった。寝不足では明日をとても乗り切れないと準備もそこそこに寝た(緊張でほぼ寝られなかったけれど)。
当日はもう朝からてんやわんや。演奏会を企画する事務所に「今日先生の代役をしますが楽譜を持っていないので、なんとしてでも準備してください」と連絡するが、事務所的にも急な話だったようで大焦りという感じ。少しでも練習しようとリハーサル場所に早めに到着したが楽譜は・・・・なかった(笑) いや参った。それでもスタッフの皆様が必死に駆けずり回ってくださったおかげで、なんとかリハーサル前には楽譜が揃った。しかし300ページ以上はあろうかというボリュームに多少絶望感を抱く。
結局ろくに予見も出来ないままリハーサルが始まってしまう。なんというハードな仕事だろう。さてここで大問題が。大量の楽譜は今さっき印刷が終わった状態、つまり製本されておらず紙ペラ状態なのだ。しかも前述の通り半分はアンサンブルスコアなので1ページに2小節しか書いていなかったりする。これでは厳しいとスタッフさんに譜めくりをお願いするが、楽譜が読めないと断られてしまう。困り果てた。
世の中は面白いというか良く出来ていて、困った人を放っておけない素敵な方が一定数居る。実際僕はそうした聖人のような人に何度も何度も救われてきた。そして今回もそうなった。アンサンブルの中の1人のヴァイオリン奏者さんが譜めくり役を買って出てくださったのだ。つまり演奏をしないで譜めくりをしてくださるという事。確かにそのパートは2人で演奏していたので1人抜けても成立はするが、そもそもやる義理はないし演奏をしたいに決まっているのに。リハーサルではそのヴァイオリン奏者さんはもちろん、奏者の皆様全員が限られた時間内で僕の拙いピアノ演奏を全力でフォローしてくださった。ここまでして頂いたら僕も頑張るしかないと奮起した。そういえば先生は簡単なピアノパートと仰っていたけれど、ソロも随所にあって結構難易度が高かった(笑)
数時間後の本番は緊張であまり記憶がない。薄氷を踏むようなと言えばいいのか、毎小節がピンチの連続と言えばいいのかギリギリの所でなんとか崩れず演奏を続けた。我ながら良くやったなと思い返したりするけれど、最後まで弾ききれたのは間違いなく譜めくりをしてくださったヴァイオリン奏者さんのおかげ。本番中ずっと隣で僕を鼓舞し、ずれそうになったら肩を叩きテンポを示し、間違いそうになったら歌ってくださった。文字通り二人三脚で演奏をしたと思う。一生忘れられない演奏の想い出になった。後にも先にもこんな経験は二度と出来ないだろう。
翌日の本番は事前準備が出来たので少し楽しめた。気に入っていただけたのか、その後何度か演奏の機会をくださりアンサンブルの中で演奏を深めていく貴重な経験が出来た。演奏家の皆様が情熱を持って演奏会を良い物にしようと試行錯誤する姿にとても感銘を受けたし、そうした環境で演奏出来たからか演奏する喜びを初めて心の底から感じられたように思う。人生は何が起こるか分からないとまた学んだ良い夏休みでした。
「明日明後日の演奏会に出演するはずだったんだけれど、大事な予定が入ってしまって・・・・急遽ピアノ演奏をお願いできないかな。」
とのご依頼。ピアニストとしては8年前に引退を決めていたので、初見演奏に強い知り合いのピアニストに聞いてみようなんて思っていたが、話をよくよく聞いてみると・・・・
とのご依頼。ピアニストとしては8年前に引退を決めていたので、初見演奏に強い知り合いのピアニストに聞いてみようなんて思っていたが、話をよくよく聞いてみると・・・・
・アンサンブルの中のピアノ演奏
・楽譜は明日の朝10時かのリハーサル前に渡せると思う(確証なし)
・楽譜の半分はピアノパートが書かれていないので、スコアを見ながら即興してほしい
・過去の演奏会の録音は送れる
という無茶振りで、とても誰かに頼める案件ではなかった。かといって恩師の大切な仕事に穴を開けてしまうのは心苦しく、しかしあまりにもリスクのある恐ろしい依頼なのでギリギリまで悩んで、「どうなっても知りませんよ」と多少荒ぶりつつもお引き受けしたのが12時ごろ。明日のリハーサル場所を調べると郊外の遠い場所で朝5時には出発しなければならなかった。寝不足では明日をとても乗り切れないと準備もそこそこに寝た(緊張でほぼ寝られなかったけれど)。
毎回余裕がなくてあまり現場でいい写真を撮れなかった。
当日はもう朝からてんやわんや。演奏会を企画する事務所に「今日先生の代役をしますが楽譜を持っていないので、なんとしてでも準備してください」と連絡するが、事務所的にも急な話だったようで大焦りという感じ。少しでも練習しようとリハーサル場所に早めに到着したが楽譜は・・・・なかった(笑) いや参った。それでもスタッフの皆様が必死に駆けずり回ってくださったおかげで、なんとかリハーサル前には楽譜が揃った。しかし300ページ以上はあろうかというボリュームに多少絶望感を抱く。
結局ろくに予見も出来ないままリハーサルが始まってしまう。なんというハードな仕事だろう。さてここで大問題が。大量の楽譜は今さっき印刷が終わった状態、つまり製本されておらず紙ペラ状態なのだ。しかも前述の通り半分はアンサンブルスコアなので1ページに2小節しか書いていなかったりする。これでは厳しいとスタッフさんに譜めくりをお願いするが、楽譜が読めないと断られてしまう。困り果てた。
ホールはどこも音響が良くて弾きやすかった。
数時間後の本番は緊張であまり記憶がない。薄氷を踏むようなと言えばいいのか、毎小節がピンチの連続と言えばいいのかギリギリの所でなんとか崩れず演奏を続けた。我ながら良くやったなと思い返したりするけれど、最後まで弾ききれたのは間違いなく譜めくりをしてくださったヴァイオリン奏者さんのおかげ。本番中ずっと隣で僕を鼓舞し、ずれそうになったら肩を叩きテンポを示し、間違いそうになったら歌ってくださった。文字通り二人三脚で演奏をしたと思う。一生忘れられない演奏の想い出になった。後にも先にもこんな経験は二度と出来ないだろう。
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